インボイス制度2割特例のやり方|申告書の書き方と設定手順を解説

結論から言うと、2割特例は事前の届出が一切いりません。確定申告書に「2割特例の適用を受ける」と付記するだけで、納める税額が売上税額の2割で済みます。
この記事で分かること。対象になる人、適用できる期間、申告書での具体的な書き方、そして申告ソフトでの設定までを、税理士事務所での実務経験をもとに順番に説明します。
所要時間は、売上の集計が終わっていれば申告書の作成自体は30分ほど。難易度は低めです。必要なのは1年分の売上(税込)の合計と、消費税の確定申告書だけ。
インボイス制度 2割特例 やり方の結論

2割特例は、インボイス制度をきっかけに免税事業者から課税事業者になった人を対象に、消費税の納付税額を売上税額の2割にできる経過措置です。
国税庁は特別控除税額を「売上げに係る消費税額の100分の80」と説明しています。つまり売上税額の80%を差し引けるので、残りの20%を納めるイメージになります。
やり方は本当にシンプルです。流れを表にまとめました。
| 手順 | やること | ここまでできていれば正しい |
|---|---|---|
| 1 | 1年分の課税売上(税込)を集計する | 売上の合計金額が1つの数字で出ている |
| 2 | 消費税の確定申告書を用意する | 一般用または簡易課税用のどちらでもよい |
| 3 | 申告書に「2割特例の適用を受ける」旨を付記する | チェック欄や記載欄に印が付いている |
| 4 | 売上税額の80%を控除して納付税額を計算 | 納付額が売上税額の約2割になっている |
事前の届出はいりません。ここが一番のラクなポイント。私が事務所にいた頃、簡易課税は届出を出し忘れて使えないという相談が毎年ありました。2割特例にはそれがない。
うまくいかないとき。「自分は対象なのか分からない」という場合は、国税庁の公式フローチャートで確認できます。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える年は対象外になります。
対象になる人と対象期間
対象は、インボイス制度の開始を機に新たに課税事業者になった事業者です。国税庁は2割特例の対象を「免税事業者からインボイス発行事業者となった事業者」と案内しています。

逆に、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるなど、もともと課税事業者だった人は使えません。ここを勘違いする人が多いので、表で線引きを示します。
| 状況 | 2割特例 |
|---|---|
| インボイスのために免税から課税になった | 対象 |
| 基準期間の課税売上高が1,000万円超 | 対象外 |
| 課税期間を1か月または3か月に短縮している | 対象外 |
適用期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日が属する各課税期間です。
個人事業者なら令和8年分の申告まで。法人は令和8年9月30日を含む課税期間までが対象です。2026年9月30日を含む課税期間が区切り、と覚えておけば間違いません。
申告書での具体的な書き方
届出がいらない代わりに、申告書での意思表示が必須です。これを忘れると2割特例が適用されません。ここだけは確実に。

消費税の確定申告書に「2割特例の適用を受ける旨」を付記して申告します。一般課税で出すか簡易課税で出すかは関係なく、どちらの申告書でも2割特例を選べます。
計算自体は売上だけで完結します。仕入の集計が不要なので、領収書の整理が追いつかない人ほど恩恵が大きい。私の実感では、初めての申告で泣きそうになっていた方がこれで救われていました。
完了状態の目安。申告書に2割特例のチェックが入り、納付税額が売上税額のおよそ2割になっていれば、この手順は正しく終わっています。
申告ソフトでの2割特例の設定

手書きが不安なら、申告ソフトの方が安全です。多くのソフトに2割特例の設定項目があり、チェックを入れるだけで申告書に自動で反映されます。
弥生会計や弥生販売を使う場合は、消費税の設定画面で「2割特例の適用」を選びます。そのうえで消費税申告書と付表が自動作成されます。
設定でつまずきやすいのは、課税方式と2割特例を二重で誤設定するケース。2割特例は申告時の選択なので、ソフト上でも該当期間の設定欄を確認してください。
特例終了後と税理士への相談
2割特例は恒久制度ではありません。一時的な経過措置です。終わったあとをどうするかは早めに考えておきたいところ。

国税庁の特設ページでは、令和9年・令和10年分の申告について3割特例が案内されています。これは2割特例の終了後の別制度として示されているものです。
正直に言うと、2割特例の期間中は判断に迷う場面が少ないです。売上を入れるだけで済むので。迷うのはむしろ特例が切れる前後。そのタイミングで簡易課税に切り替えるべきか、税理士に一度相談する価値はあります。
事務負担の軽減と支援
2割特例は税額そのものを軽くする制度ですが、関連してインボイス対応の事務負担を減らす仕組みもあります。

少額特例は、税込1万円未満の取引についてインボイスの保存がなくても仕入税額控除を認める措置です。日々の経理が一気に楽になります。
会計ソフト導入への補助金や、持続化補助金のインボイス枠の加算など、初期コストを抑える支援もあります。ソフト代が気になる人は使えるものを確認しておくと無駄がありません。
よくある質問

よくある質問
次の一歩は、自分の売上(税込)を1つの数字にまとめること。それさえあれば、2割特例の申告は今日中に終わります。
